2025年・承認欲求時代の「お店のファン」の定義とは?レベル別に行動心理を解説
結論:今のファンは“推し活”と同じ。承認欲求と共感が行動の原動力
「ファン」と聞くと、以前は常連客・リピーターを意味していましたが、2025年の今、その定義は大きく変わっています。SNSや口コミ文化の浸透により、お店のファンは“再来店するだけ”ではなく、“紹介する・広める・支える”という行動を取る存在に進化しています。
さらに、ただ好きなだけではなく、「推すことで自分のセンスが評価されたい」「発信を通じて承認されたい」という“承認欲求”がファン行動のエネルギーになっているのが現代的な特徴です。
本記事では、現代のお店のファンを7つのレベルに分けて、その心理と行動を詳しく解説します。
レベル0|来店経験なし・でも強く憧れている“予備軍ファン”
まず最も広い層にいるのが、「まだ来店したことはないが、SNSやメディアで知っていて、いつか行きたい」と思っている人たち。いわば“憧れ系ファン”です。
特に影響力のあるインフルエンサー、芸能人、YouTuberなどが紹介した店に対し、「保存だけしてる」「近くに行ったら行きたいと思ってる」といった層は非常に多く、フォロワー単位では大きな潜在集客力を持っています。
この層に刺さるには、「行ってみたいと思わせる理由」=ブランドの世界観が重要になります。
レベル1|来店はしたが、記憶に残らず終わった“通りすがり”
次に来るのが、偶然や近さなどの理由で来店したが、特に印象に残らず、名前も記憶に残っていない層。これが“記憶に残らない来店”で終わってしまった人たちです。
美味しかったとしても、特徴やストーリーがなければ、他のお店と同じく“ただの消費”で終わってしまいます。ここを乗り越えて「また行きたい」と思わせるには、ブランディングや接客、空間設計など総合的な印象づくりが不可欠です。
レベル2|リピートはするが、紹介はしない“自己満ファン”
店を気に入っていて何度も通っているが、「誰かに紹介したい」とまでは思っていない人たち。“自分の中で完結しているファン”です。
この層は非常にありがたい存在ですが、SNS投稿や口コミにはつながりづらいため、ファンとしては“静かな支持者”。この層にもう一歩踏み込んでもらうには、店側からの“シェアしやすい仕掛け”や“共感できるメッセージ”が鍵になります。
レベル3|家族・友人など、身近な人に紹介する“クチコミ系ファン”
実際に来店し、誰かに話したくなる体験をしたことで、家族や友人など身近な人に「ここ良かったよ」と伝える層。“口コミによる推奨行動”が始まっている段階です。
この時点で店名や特徴が記憶されており、「また行きたい・誰かを連れて行きたい」と思わせる要素が整っていることが重要です。つまり、“語りたくなる体験”を用意できているかどうかがポイントになります。
レベル4|InstagramなどSNSで紹介する“発信型ファン”
ここからが大きな転機。「発信すること自体に価値を感じている層」が現れます。ストーリーズでシェアする、フィードに投稿する、タグをつける、Google口コミを書くなど、能動的に情報発信してくれるファンです。
この層に共通しているのは、「この店を紹介することで自分のセンスが伝わる」「誰かの役に立てる」といった承認欲求や共感願望。そのため、投稿したくなるような体験・空間・ストーリーの仕掛けが必要不可欠です。
レベル5|投稿によって反響が得られ、承認欲求が満たされた“拡散型ファン”
店を紹介した投稿に「いいね」「コメント」「保存」などの反応が集まり、「自分の投稿が価値を持った」と感じると、このファンはさらに強化されます。いわば“自己実現が叶った状態”です。
この状態に至ると、定期的に来店したり、新メニューを誰よりも早く体験したり、コメントで他の人に教えたりと、まるでアンバサダーのように行動するようになります。 ここまで育てることができれば、お店としては“無料の最強マーケティング部隊”を持っている状態です。
レベル6|推し活としてお店を支える“コアファン”
さらに進化したのが、自発的にグッズを買ったり、周年記念イベントに参加したり、遠方からでも来店したりする“推し活型ファン”です。
店舗アカウントの投稿を即座に保存・拡散し、他の人のコメントにまで反応するような行動も見られます。情報を受け取るだけでなく、「このお店を支えたい」「もっと有名になってほしい」と感じるようになっているのが特徴です。
この層を育てるには、コミュニケーションの仕組み、イベント、特典、店員との関係性など“参加できる余白”を提供することが重要になります。
まとめ|ファンは“階段”を上がるように育つ。レベルに応じた施策を
ファンは、いきなり投稿してくれる存在ではありません。
憧れ → 記憶 → 好感 → 共有 → 推薦 → 自己実現 → 応援、という段階的な成長を経て、少しずつ行動を変えていきます。
店舗側は、どの段階のファンがどれくらい存在しているのかを把握し、それぞれの層に対して“次のレベルに上がってもらうための体験”を設計することが重要です。
今後の集客戦略において、「ファンは一枚岩ではない」という視点を持つことは、リピーター獲得とクチコミ拡散における大きな武器になります。